僕と君のはなし | ナノ
 学生にとって楽しい楽しいお昼休みも、俺にとってはたいして楽しくもない時間。窓際の席で、持ってきたパンを頬張る。前の学校ではなんとも言われなかったピアスも、この学校ではダメらしい。別に1個くらいいいじゃん、と思うんだけど、その考えがまずアウトなのか。

 初日から担任教師に注意され、毎時間教科別の先生に注意され、あげくの果てにはクラス委員にもやんわり注意され心底うんざりした。周りに言わせれば『不良みたい』『クラス・学校のイメージダウン』だそうだ。

 それでも外さない俺を見たクラスメイトは言葉通り“不良”というレッテルを俺に貼りつけたらしい。それがこのクラスで馴染めない原因の一つになっているのは言わずもがなであろう。

「外見で人を判断しちゃいけませんって教えてるのはどこのどいつだっつーの。」


 素直に外すのが何となく嫌で、未だにつけている俺が悪いのは勿論わかってる。しかしまあ、今更外して友達100人できるかと問われればどうだろうか。とりあえず没収とかはないみたいなので…まあいいや。

「次、何だっけ…」

 食事タイムも終了し、やることもないので真面目に次の教科の準備をしようと時間割を見る。そこで、初めて自分の失態に気付いた。

「家庭科…だと…?」

 家庭科は家庭科室に移動しなければならない、と担任が朝のHRで言っていたような…。そう、所謂移動教室だ。すっかり忘れてたけど、そういえばクラスの生徒がやけに少ない。もしかしたらみんな、食堂から直接移動するのかもしれない。

「俺、家庭科室わかんね。」

 人見知りだ何だと言ってないで、大人しく友達作りに励んでいればよかったと後悔した。  /home

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